仏眼相を持つ私の摩訶不思議な体験 【其の一】
突然だが私には仏眼相がある。
【仏眼相とは】
親指の第一関節の筋の部分にある目のような形の相の事で、珍しい手相らしい。
よくTVショーのバラエティなんかでやっている手相占いの時に覇王線やますかけ線やソロモンの環などと一緒に紹介されている珍しい手相だ。
これがある人は記憶力が良かったり霊感が強かったり超能力を持っていたりする(らしい)。
つまり私には超能力もしくは霊感が備わっていて記憶力が抜群に良い、という事なのだが36年間生きてきて未だその才能の片鱗すら見えないのはどういうワケだろうか。
超能力でハァァァと手を触れずに物を持ち上げたりする事も出来なければ日常的に霊が見える訳でもない。記憶力も悪い。
こちらとしてはいつでも悪の組織から世界を救う心構えは出来ているし、封印された鬼の手で生徒を守る為に悪霊を退治する準備は出来ているのだが、一向にそんな機会は訪れない、というか霊すら見えない。そして教師でもない。
これではさえない人生のままもうすぐ初老を迎えてしまう。
いま直ぐにでも才能が開花してほしいのだがその気配すらない。
解せぬ
ちなみに妻にもこの仏眼相がある。
彼女はナースなのだが、病院にいると誰も居ない病室で強い気配を感じたり、家の1階に居ると、誰も居ないはずの2階で歩く物音や気配がするなんて言うし、お彼岸になると何か嫌な感じがするなんて言い出すくらいだから何か感じる力があるらしい。
ますます解せぬ
まさか娘にもあるのではと見てみると
そのまさかである。
よく誰もいない所を指差して笑っていたりするのはそういうワケなのか。
娘には見える力が備わっている。
という事は私だけ除け者という事か。
GESENU!
とは言え、そんな私でもはるか昔に摩訶不思議な体験をした事が数回だけあるのを思い出したのでその出来事をお話する。
あれは15年も前の話だ。
その夜は何故だかうまく眠れずにいた。
何度もゴロゴロ寝返りをうってもどうも寝付けない。
私は自然と睡魔が訪れるのを待ち、何度目かの寝返りをうち壁側を向いて横になった時だった。
急に顔面の皮膚を壁の方に引っ張られる感触がして、私はパニックになった。
何だこれ!?
皮膚というよりも魂を持って行かれるような不思議な感覚がして、恐ろしくなった私は持って行かれまいと必死に耐えていた。
すると急に壁から
ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォ
という、腹の底に響くような男の低い声がしたのだ。
その声がすると急に引っ張られる感覚がなくなったので、急いで布団にもぐって恐怖に怯えていた。
ガタガタ震えながら布団にくるまっていたらいつの間にか眠りに落ち、気付いたら朝になっていた。
たったそれだけの事なんだけれど、物凄く怖かったのを憶えている。
これが一つ目の出来事だ。
【其の弍】に続く