なぜサーファーたちは台風が接近している危険な時に海へ向かうのか?
先週の台風18号、すごかったですね。
各地で冠水や浸水、河川の氾濫や土砂崩れなど多くの被害が出ました。
海でもサーファーが流されて行方不明になっています。
さて、こういう流されるサーファーの被害って台風が来る度必ずと言っていい程起こりますよね。
なぜこんな台風が来ている危険な時にサーフィンなどするのか?
私も波乗りを始める前は疑問に思っていました。
この人たちは一体なにを考えているのかと。
でも自分がサーファーになってみてようやくわかりました。あ、こういう事なのかと。
なのでこれから世間の皆様が不思議に思っている疑問を紐解いていきたいと思います。
実際、台風が直撃している時に波乗りに行く人はほぼ皆無なんですよね。
台風がまだ遠くにある時(直撃の4,5日〜2日前くらい)は海はまだ荒れてはいなくて、サーフィンに適した良いサイズの波が来るんですよね。こういう時にサーファーたちは皆いそいそと海に向かうワケです。
ただ前日くらいになってくるとどんどんサイズは上がってくるので注意は必要ですが、自分の力量と、台風の情報、それにその海の地形などを把握してさえいれば楽しんで波乗り出来る状態なんです。
それでも普段波が小さい時と比べると人も増えて思わぬ事故など危険度は増すので初心者は海に入らない方が身の為です。
さすがに板の上に乗った時に自分の頭ぐらいある大きな波になってくるとかなりパワーがあるのでへたれな私の場合は入水を躊躇する時もあります。
こういう時におのれの力を過信して海に入っている人、もしくは中上級者の友達と一緒に来た初心者に近い人が要注意です。
「そこそこ実力も付いてきたし大丈夫だろう」という過信。
「上手い友達も一緒だから大丈夫だろう。」と言う浅はかな考え。
それに加えて今自分がサーフィンをしている場所の地形や潮の流れを把握していない無知。
これらが重なると大変危険です。
強い潮の流れによって元居た場所からどんどん横に流されて行き、そのまま思わぬ離岸流にハマってしまい、沖へ沖へと流されてどれだけ漕いでも地上にたどり着けないまま体力を消耗し、漂流してしまうのです。
あとは近くにいた人の板が飛んできて頭や身体に当たって大怪我したとかそういった事も考えられます。
ちなみに私はこれ初心者の頃に経験していて、飛んできた板が後頭部に直撃し、4針縫うハメになりました。あの時はみるみるうちに上半身が血まみれになり、死ぬんじゃないかと思いました。その時は友達が近くにいたので助けてもらいましたが、誰も近くにいないと陸に戻るのが困難になる場合もあります。
あとは大波に飲まれるというケースも。
うねりの力が強い時に波に巻き込まれると、水中で身体がぐるぐる回転しながら海の底に沈んで行きます。
その状態でもがいて上に上がろうとしても、天地がわからないので、泳いでも泳いでも自分がどこに向かって進んでいるのかわからなくなってしまいます。
それは時間にするとわずか十数秒の事なのですが、パニックになってもがいているので酸素を余計に消費してすぐに息が続かなくなります。
それはもう苦しくて早く、早く酸素を、とやっとの思いで海上に浮きあがって呼吸をし、リーシュコード(足首とサーフボードを繋ぐ命綱)を手繰り寄せても、波によって板が真っ二つに折られて使い物にならなくなっていたりする事も多々あります。
あんな分厚い板が簡単に折れてしまうのだから自然の力って半端ないですよね。
そんな状態なのにすぐにまた次の大波が来てまた巻かれて沈んでもがいてって事を繰り返しているうちに体力を消耗して溺れる、というケース。
ちなみに私は昔、沖の方で波に巻かれた時にリーシュコードが切れて板が流されてしまい、次から次へとやってくる大波に揉まれて溺れかけた事があります。
このようにサーファーは過信と無知によって流されてしまうのです。
なので中途半端な経験者の人たちは決しておのれの力は過信せず、状況を見極めてから海に入らないと思わぬ事故にあうので気を付けてください。
台風がすぐ側までやってくると波の高さが頭オーバーやその2倍、3倍とかの大きさになってくるので大変危険です。
そんなサイズの時に海に入っている人はプロレベルのエキスパートかクレイジーな人くらいです。
普通の人は台風がすぐ側まで来ている時はなるべく海に近づかないようにするのを強くお勧めします。
今も台風19号ヴァンフォンが首都圏に接近しているので、緊急の用が無い人は家でキングオブコントでも観てゴロゴロしていましょう。
以上、現場からでした。